Project Story 02

仕入最適化システム

「売れ筋パターン」のロジック化で 書店売上の最大化に貢献する

Member

  • 営業部 
    営業統括グループ
    宮脇 哲哉
  • 営業部 
    営業企画促進グループ
    齋藤 千紘
委託販売制をとる出版業界には、構造的な課題として高い返品率がある。旺文社では、20年近く前からこの課題に取り組み、出版社・取次・書店のステイクホルダー全員が「Win-Win」になる仕組み「仕入最適化システム」を構築し、推進してきた。このシステムについて推進責任者と書店営業の担当者に尋ねた。
仕入最適化システム、聞きなれないですがどういうシステムなのでしょう
齋藤
簡単にいえば、自動発注システムの一種です。例えば、書店で旺文社の書籍が1冊売れると、その売上データが旺文社に送られ、書店さんがわざわざ注文を出さなくても、その1冊を補充するために納品されます。こういった自動発注を行っている出版社や取次会社の事例は珍しくはありません。
独自なのは、1冊売れたら必ず1冊補充するのでなく、時期によっては1冊売れても補充ゼロ、あるいは売上がなくとも需要を予測して送品する、という仕組みがあることですね。
宮脇
旺文社の主力商品である英検書や学習参考書は、時期によって売れ行きが大きく変動します。英検の試験前は英検書の売れ行きが伸びる一方、試験直後は一服します。学習参考書も新学期、夏休み、共通テスト前など時期によって売れ筋は様々です。
「仕入最適化システム」は、商品別・書店別・月別に売れ筋のパターンを長期間にわたり分析・データ化し、売上情報をそのパターンに照らし合わせ、時期に応じて補充部数を増やしたり、あるいは逆に補充しなかったりという『その店舗にとっての最適な仕入』を自動で実現しています。
仕入最適化システムを書店さんが導入するメリットはどのような点でしょう
齋藤
私はよく「旬」という言い方をするのですが、通常、書店さんでは各ジャンルの担当者がプロの目利きをもって、日々「旬」の書籍を補充したり、「旬」が過ぎたら返品したりといった判断・作業をされています。仕入最適化システムの導入で、担当者はそれらの作業から解放され、棚のディスプレイなど「本がより売れるための仕組み作り」に注力していただくことができます。
宮脇
書店さんに驚かれると同時にありがたがられるのは、旺文社の書籍を返品するように働きかけることもある点です。例えば新課程入試が始まった年に、旧課程の参考書が店頭に残ったままでは読者にとって不誠実なことになりかねません。仕入最適化システムは店頭在庫を把握しているからこそ、旺文社の書籍が必要以上に店頭に増えすぎることがないように返品を促すなど、調整を行いながら常に最新で最適な棚作りをサポートしています。
今後の展望を教えてください
齋藤
先ほどは書店の業務効率化に言及しましたが、仕入れ最適化システムがあることで、私たち営業側も業務効率化がはかれています。かつて書店訪問時には1点1点自社商品の在庫数を調べての欠品チェックがかかせませんでしたが、現在は売れ筋商品や店頭展開の提案など売れるための仕組み作りに時間を割くことができます。コンサルティング的な営業活動に注力していきたいですよね。
宮脇
返品にかかる物流コストは業界全体の課題ですし、多品種小ロットが当たり前の出版業界において、売れ残りと売り損じを最小化するのは容易ではありません。旺文社では、先ほど述べた書店ごと、商品ごとの「売れ筋パターン」のチューニングを緻密に行いながら、物流コストの削減や業務効率化、書店売上の最大化に貢献していきたいと思います。