社長インタビュー
未来の教育を
創り出すことで
成長を目指す
- 代表取締役社長
- 粂川 秀樹
自己PRならぬ会社PRをお願いいたします。
旺文社は「お世話になりました。」と言われる会社です。
私自身、仕事やプライベートでお会いした人から「旺文社さんには高校時代お世話になりましたよ。」と言っていただける機会がよくあります。仕事をする上で非常に励みになりますし、これからも教育を通して世の中の役に立ちたいと、やる気になります。
旺文社の仕事は「学ぶ人」(生徒、学生など)や「学ぶ人をお世話する人」(先生、教育機関、企業)をお世話することです。業務そのものが感謝され、社会貢献につながっている会社だと言えます。
やはり自己PRもお願いいたします。
新卒で旺文社に入社してから27年目になります。 高等学校への営業から始まり、社長室、出向、毎年約200点の新刊書籍の企画に関わる業務、そして新規事業の立ち上げに至るまで、様々な部署と役職を経験しました。 特に、出向で社外から旺文社を見る貴重な機会を得られたことは大きな財産です。 この経験を通して、改めて旺文社の持つ価値、特に一緒に働く人たちの素晴らしさと教育への熱意を深く実感できました。社長となって、これまでの経験で培った視点を活かし、会社の価値を中長期的に上げていくという強い意識を持って経営にあたっています。
出版不況と聞きますがどうなんですか?
ご指摘の通り、市場環境は厳しい状況です。 旺文社は、出版事業と教育事業の両方に軸足を置いていますが、その両事業ともに市場が縮小しているという課題を抱えています。
出版事業の国内市場規模は1996年の約2.7兆円をピークに右肩下がりで、今ではその半分以下です。 紙と電子を合計した市場全体でも再び減少に転じています。(※出版科学研究所調べ) また、教育事業も少子化の影響を大きく受けており、18歳人口は1992年の約205万人から減少傾向にあります。 (※旺文社調べ)
しかし、旺文社はこうした厳しい環境にありながらも、常に突破口となる事業を興し、ユーザーの皆様に新しい学習体験を提供することで成長してきました。 出版や教育関連業界で働こうとしている方には、縮小する市場の中でその企業がどのような戦略で成長を描いているのか、ぜひ確認してほしいと思います。
そのような厳しい中、旺文社の展望を教えてください。
私たちの基本的な使命は、創業以来変わりません。 「学ぶ人が、住んでいる場所や経済状況にかかわらず、すばらしい学習サービスや受験情報を受け取ることができる社会」を目指しています。 物理面・心理面から学びをサポートし、「学びの質」を上げていくことです。
幸い、厳しい環境下でも業績は順調ですが、何もしなければ成長は止まります。 私たちは、2031年の100周年に向け、以下の2つの方針で成長を目指します。
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- 方針1既存事業・新規事業の組み合わせで「未来の教育」を創る
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私たちは、本・雑誌(Book)とその購入前後(Before/After Book)の体験をつなぐことで、事業の相乗効果を高めています。
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- Before Book:本・雑誌を買う前の段階でのサービス(例:大学受験情報サイト「パスナビ」)
- Book:書籍や雑誌そのもの(既存の出版事業)
- After Book:本・雑誌を買った後の学習を支えるサービス(例:学習アプリ「ターゲットの友」)
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これは、紙“か”デジタルかという二者択一ではなく、紙“と”デジタルを組み合わせることでユーザーへの提供価値を最大化する、「orではなく&」の考え方です。
実際に、No.1大学受験英単語集である「英単語ターゲット」シリーズでは、書籍と公式アプリ「ターゲットの友」、学校向けWebサービス「タンゴスタ!」を連携させることで、書籍とデジタルの売上が共に成長し、シリーズ全体の実売は2007年比で約2.1倍にまで成長しました。
また、児童書「学校では教えてくれない大切なこと」シリーズのテレビアニメ化や、社内公募から生まれた英検®のライティングをAI採点するサービスを書籍と連携させるなど、既存の枠にとらわれない新しい価値提供にも挑戦しています。
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- 方針2社内外の仲間とともに「未来の教育」を創る
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旺文社は2018年、国内出版社として初めてEdTechに特化したCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)「旺文社ベンチャーズ」を設立しました。 これは、優れたスタートアップ企業と「競争」するのではなく、共に未来の教育を「協創」したいという思いからです。
これまで2つのファンドを組成し、合計20億円規模で運用しています。 投資先へは資金的な支援だけでなく、旺文社が持つ学習コンテンツの提供や、全国の学校へのアクセス支援なども行っています。
100周年に向けて、手応えは感じていますか?
はい、手応えを感じています。 先ほどの「ターゲット」シリーズの成功に加え、90年の歴史を持つ「入試問題正解」シリーズでも、デジタルサービス「入試正解デジタル」を2022年にリリースしたことで、「紙“と”デジタル」の合算で大きく成長しています。
一方で課題も明確です。 『学習サービス』と『教育情報サービス』がユーザーに別々に提供されていること 、そして新規事業で蓄積された学習データを、ユーザー体験の劇的な向上にまだ活かしきれていないことです。 これらの課題解決の鍵として、私たちは各種サービスを統合する「まなびID」の整備を進めています。 これによりユーザーとのつながりを一層深め、「未来の教育」を創っていけると考えています。
どんな人と一緒に働きたいですか?応募される皆さんへのメッセージは?
私たちが重視するのは、以下の3つの要素です。
- 「未来の教育」を創りたいと思っている人
- コーポレートスローガン「学ぶ人は、変えてゆく人だ。」を実践できる人
- 旺文社という文化にフィットする人
私たちの考えるイノベーションは「新しい価値を創造し、社会に良い影響を与える事」です。 これまでの前例にとらわれず、教育を良くしたいという情熱を持つ人と一緒に働きたいです。
「学ぶ人は、変えてゆく人だ。」を実践できる人とは、物事を自分ごととして捉え、課題解決のために学び続けられる人です。 自分自身が「学ぶ人」であることこそが、ユーザーの課題に深く向き合い、良いサービスを創れる道だと信じています。
そして、「何をやるか」と同じくらい「誰とやるか」も大切です。 就職活動では、私たちが皆さんを選ぶだけではなく、皆さんも会社をしっかり選んでほしいと考えています。
まずは皆さんに、旺文社で「未来の教育」を一緒に創っていこうと思っていただけたら嬉しいです。もしそう思っていただけたら、しっかりと準備をし、その思いをぶつけていただけたらさらに嬉しいです。お会いできるのを楽しみにしています。